事例紹介 - 現実の世界と仮想世界を測定する - プロメテウス・ビューファインダー分光計の活躍
空にかかるカラフルな虹、部屋を柔らかく照らすキャンドル、太陽を強く反射するガラス。あらゆるシーンや光源を客観的に測定・評価できるのが測色技術です。
なぜ、そうした技術が関係するのでしょうか?その答えはすぐさま明確に分かるものではないかもしれませんが、私達は全情報の約80%を視覚で認識しています。多くの業界や実際の用途では、目で見えている現実世界を客観的に表すことが重要です。こうした情報は、生産された製品の色彩が厳格な公差条件内に収まっているかどうかをチェックするために使われます。また、交通信号が明るすぎたり暗すぎたりせず仕様条件に適合しているかどうかをチェックすることもできます。また、印刷物やディスプレイを生産する場合も、典型的な測定例です。ビューファインダー分光計は、基本的にこれらとほぼ同様の色測定作業をカバーします。
見えているものを測る
プロメテウスは、ビューファインダーを内蔵したハイエンドな分光放射計で、いわゆるプリチャード光学系を採用しています。ここでは対物レンズが小さな穴の開いた角度付きミラーに結像させます。穴を通過した光は測定センサーに当たります。ミラーの大部分の面積は、光をビューファインダーに反射させます。ビューファインダーに表示される画像は測定スポット周りの画像を高精細に表示してくれます。測定スポット自体は小さな黒い円として表示されます。プロメテウスのビューファインダー分光計の測定角度は1.2°なので、小さな測定範囲であっても非常に精密に測定することができます。プロメテウス ビューファインダーの場合、ミラーレスカメラのようなカメラを内蔵しており、電子制御しています。これにより、測定箇所の位置合わせが容易になるだけでなく、測定個所の状態を画像として保存・記録することができます。
ここで言う色測定とは、もちろん輝度評価も含まれますし、正確には輝度として表現されます。また、複数の測定値を組み合わせて、例えばディスプレイのガンマ値や色域(いわゆるガマット)の測定も含まれています。
実世界から仮想世界、ディスプレイへの応用まで
プロメテウス・ビューファインダー分光計では、目に見えるものであれば大半のものは測定することができます。その1つとして、ペンのような変わった形の物体の測定があります。実用上の理由から、反射測定は通常、光源を内蔵した専用の装置で行われます。しかし、製品として完成したペンの小さな表面を測定することは、一般的な反射測定用の分光計では簡単にはできません。そこで、ブランドカラーを保証するために、ビューファインダー分光計が活躍しています。また、この企業ではサッカースタジアムの大型LEDパネルに表示される広告が正しいブランドカラーであることを確認する必要がありました。サッカースタジアムのディスプレイの色を測定し、テレビ放送での表示色を確認するという、これまた意外なビューファインダー分光計の使用例です。
現実世界のあらゆる場面でも、色を測定することは可能です。しかし、ビューファインダー分光計の非常に基本的な使用例は、拡張現実装置の色を測定することです。VR (仮想現実)、AR (拡張現実)、MR (複合現実)など、視聴者にとっては、画像がどのように生成されるかは重要ではありません。同様に、ビューファインダー分光計はその要素技術に関係なく、あらゆるXR装置を客観的に評価することができます。実際の装置構成によっては、カスタムレンズやアタッチメントが必要になるかもしれません。標準のプロメテウスのビューファインダー分光計では、250 mmから無限遠までの (仮想) 距離でビューファインダーからの画面内を測定することができます。
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレット、ノートPC、テレビ、LEDバナーなど様々な従来のディスプレイアプリケーションは、プロメテウス ビューファインダー分光計の格好の測定対象です。色精度、ガンマ曲線、コントラスト比、さらにはフリッカーや応答速度の測定も可能です。研究開発においては、迅速かつ正確な測定は非常に重要であり、三刺激値だけでなく、スペクトルパワー分布(SPD)も提供してくれるので、より深く確認をしたり、より適切な分析を行うことができます。また、このハイエンド分光放射計は、ビデオやグラフィックアート、医療用の高度で専門特化したモニターソリューションの校正など、生産現場において単独で活用することができます。また、分光放射計は高速測色計の校正を確立するための基準機として用いられ、その校正をすることで、測定速度が非常に速くなり、最短タクトタイムを可能にするだけでなく、同時に最高レベルの測定精度を実現することができるようになります。
1台で全ての測定をカバーする測定機
ビューファインダー分光計が、なぜ色彩学者に好まれ、非常に汎用性の高い測定機という側面だけでなく、研究開発業務における完成度の高いソリューションであり、生産工程での工程管理や品質評価にも適しているのかということは、今や明らかでしょう。プロメテウス ビューファインダー分光計は、最高水準の要求を満たしていることを思い出してください。高いダイナミックレンジ、低輝度時の優れた測定性能、低迷光、低偏光感度、内蔵モニターによる最高レベルの波長精度により、非常に高精度な色測定を可能にします。プロメテウス ビューファインダー分光計は、最高レベルの光学性能と多くの可能性により、全ての測定をカバーするする測定機と言えます。