ケーススタディ - 要求が厳しいディスプレイ向けプロメテウス色彩輝度計
(英)エレクトロオプティクス誌が、最新のプロメテウス色彩輝度計シリーズについて、弊社CEOのSteven Goetstwersにインタビューを行いました。
ディスプレイの色測定 - 妥協することなく正しく測定をする
コンシューマーエレクトロニクス業界は数十億ドル規模の市場であり、データ分析会社のStatista社が発表した最新の数字では、2023年までにコンシューマーエレクトロニクス製品に支出される金額が世界で約2.06兆ドルになると予測されています。
一例をあげると、独立系調査会社のStrategy Analytics社によれば、現在、世界人口の約半数がスマートフォンを所有しているとのことです。これは、テレビ、ARやVR技術、ウェアラブル、音声技術、その他のコンシューマー製品は除いての話です。
このように目まぐるしく競争が激化した市場では新規参入は次々とあるため、メーカー側としては、市場の需要を満たして、且つ生産した製品全てにおいて同様の高い品質水準を確保するために、最大限効率的に工程を運営することが不可欠となります。Admesy社CEO、Steven Goetstwersは、過去15年において、複数の大手電機メーカーと仕事をしてきた中で、そうした製品に使用するディスプレイもまた同様であることを体感してきました。「店頭で販売されるコンシューマー製品は全て、最終顧客にとって、ブランドに応じて同一に見えることが重要です。」「例えば、白画面が表示されているディスプレイが、多少黄色味がかっていたとしてもすぐには分からないものです。」(Steven Goetstwers)
基準としての再現性
それを確実に見分けるには、非常に正確で、しかも高速な色彩輝度計が必要です。人間の目は色の違いを見分けることに非常に長けているので、測定機は高精度である必要があります。」「コンシューマー製品は、1台ではなく何千万台もの製品を生産することになりますから、高速で測定する必要があります。」(Steven Goetstwers)
ある特定の用途で、Admesyは顧客と協業して、特別な色彩輝度計の提供を行いました。「最近の製品メーカーは、ディスプレイの下に複数のアイテムを搭載しています。」「例えば、ディスプレイの下に指紋認証スキャナーやカメラ、顔認識機能を搭載し、カメラの境界線やレンズ部分の切り出しがない携帯電話やタブレット、ノートパソコンを生産しています。しかしこの場合、ディスプレイの下にそうしたアイテムがある領域の強度が弱くなる可能性があります。」(Steven Goetstwers)
つまり、性能が異なっている可能性がある領域がディスプレイ上に存在しているということになります。そのため、その顧客は、その領域を測定して、その領域がディスプレイの他の領域の仕様と同じであることを確認する必要があったのです。
「課題はその測定領域が小径である必要があることです。測定径を小さくするには、非常に高速な色測定から始める必要があります。」(Steven Goetstwers)
しかし測定径を小さくすることは、測定速度の低下につながる恐れがあります。「フォーカスを合わせると速度が大きく落ちることは分かっているので、先ずは非常に高速な機器が必要になります。また、比較的速いサンプリングスピードを得るために、非常に複雑なレンズシステムが必要となります。しかし、この大きさで、正しく測定領域を見ていることをどうやって判断するのか、という非常に興味深く実践的な問題にぶつかりました。」(Steven Goetstwers)
「比較すると、従来ではディスプレイの測定スポット径は10mmや20mmで、しかもディスプレイの中心部にあったため、ある程度の誤差は許容していました。」「しかし現在では、スポット径は小さいので、ほんのわずかでも寸法を誤ってしまえば、測定スポットとスポットの大きさがうまく合わずに、輝度値が正確でなくなってしまう可能性があります。」(Steven Goetstwers)
「比較すると、従来ではディスプレイの測定スポット径は10mmや20mmでしかもディスプレイの中心部にあったため、ある程度の誤差は許容していました。」「しかし現在では、スポット径は小さいので、ほんのわずかでも寸法を誤ってしまえば、測定スポットとスポットの大きさがうまく合わずに、輝度値が正確でなくなってしまう可能性があります。」(Steven Goetstwers)
解決方法
この問題は、測定スポットの中心にアライメント用ライト(直線光)を当てることで解決できました。そのため、単に測定だけでなく、測定機から赤のLED光を発光させて、カメラでその赤色の光の点がある場所をしっかり確認することができるようになりました。「その情報によって、測定ポイントの位置がきちんと合っているかどうかを確認できるようになっています。」(Steven Goetstwers)
また、Admesyでは他の顧客でも同様の要求があることが分かってきました。「我々は基本的にセンサーと測定ツールのみの提供から、フルシステムの提供をしており、現在ではアライメントツールを測定機に内蔵させた製品も提供しています。そのため、データが正しく読み取れていれば、その情報に基づいてディスプレイの位置や測定を調整することができます。」(Steven Goetstwers)
Admesyの光学エンジニアと機構エンジニアの連携と彼らの努力により、プロメテウスシリーズの色彩輝度計は製品化し、多くのお客様に提供できるようになりました。「このレンズ全体の設計は、私たちが行った設計の中でも非常に困難だった設計の一つに入ります。」「また、エンジニア達は、通常の生産工程において拡張性をもって使用できるようにプロメテウスを完成させてくれました。」(Steven Goetstwers)
プロメテウスシリーズは、色測定にフリッカーと応答時間測定の機能を加え、先代モデルの色彩輝度計ハイペリオンよりも広いダイナミックレンジと、サンプリング速度の向上を実現しています。また、24時間365日無休の連続使用に耐えうる堅牢性と、生産環境に組み込みやすい設計となっています。対象のレンズは複数種類用意しております。一般的なディスプレイ測定用には、10、20、27mmのスポットサイズを持つコリメートレンズがあります。また、より小さい測定領域や、このケーススタディでご紹介したような特殊な用途には、スポットサイズが2.1mmまたは5mmの集光レンズのバージョンもオプションとして用意しております。