自動車の研究開発における色計測と白色点調整(white point adjustment)

自動車業界における照明やディスプレイの品質は、設計上重要な要素となっています。照明やディスプレイから発せられる色を正確に測定することは、正確で高品質な成果を得ることに繋がります。

Admesy Automotive RD


図1:自動車のデザインに欠かせない照明とディスプレイ。画像出典:pixabay.com/xusenru.f


自動車市場では競争が激化しています。消費者は、より良い、より安全な、より信頼性の高い、より楽しいドライブ体験を提供してくれる自動車を求めています。その結果、ここ数十年の間に、自動車業界では目まぐるしい技術の進歩がありました。自動車のデザインと照明もこの流れの中にあって例外ではなく、数々の重要な技術革新が行われています。

効率とデザインを向上させる自動車用照明の研究

自動車の外部照明は、1970年代に登場したハロゲンランプ、1990年代に登場したキセノンランプ、2006年に登場したフルLEDヘッドランプと、急速に進化してきました。

LEDヘッドランプは、従来品に比べ、長寿命化、高効率化、低消費電力化が図られています。さらに、2014年に導入されたアダプティブドライビングビーム技術により、様々な運転状況にヘッドライトが自動的に適応するようになりました。

レーザー照明はヘッドライトの最新トレンドであり、LEDの数分の一の大きさのダイオードで、優れた効率、品質、性能を提供しています。1-4

内装照明もまた、自動車デザインの重要な要素となってきています。内装照明が自動車の魅力、安全性、空間の認知を向上させることが研究で示されているからです。

現在、内装照明に使用されている主な光源はLEDですが、設計の自由度を高める有機ELや小型化を実現する光ファイバーなどの研究も進められています。

現在、内装照明は優れたドライバー体験を提供することに重点を置いていますが、自律走行車の導入により、車との関わり方が完全に変わる可能性があります。6,7

デザインの検討において必要不可欠な車載照明やディスプレイの色彩品質


研究開発段階で車の部品の光学特性を測定・調整することで、高品質な製品を実現し、顧客満足度を向上させることができます。車載OEM および車メーカーは、消費者や管理当局の要求を満たすため、照明やデザインスキームを精密に検討・設定しています。

しかし、残念ながら、量産工程では、材料の構造、組成、厚みに小さなばらつきが生じ、照明や車載ディスプレイのスペクトルのばらつきや色の違いが生じることがあります。8-10

白色点の調整と色再現は、自動車の研究開発における品質管理の重要な部分です。色の測定には、色彩輝度計または分光放射計を用いて行います。11-13

色の測定-色彩輝度計と分光放射計どちらを使う?


どちらの機器も色の「正しい」測定が可能ですが、その方法は大きく異なります。そのため、測定の状況によって、最適な機器を選択する必要があります。11-13

色彩輝度計は、人間の目と同じように、一連の座標(XYZ、または赤、緑、青)に従って色を測定します。色彩輝度計で色を測定した場合、例えばCIE1931図のカラーポイントに変換できる3つの値が得られます。

色彩輝度計を用いた測定における短所は、複数のスペクトルの光を使っているのに同じ色と判断することが多いことです。したがって、色彩輝度計は複数の白色光の違いを見分けることはできませんが、これは光がスペクトル的に同じであることを意味するわけではありません。11,12

CI Exy1931

図2:CIE1931の図

分光放射計は、光源に含まれる各波長の光の強度を分散して測定し、色を「より忠実に」反映させたスペクトルを供給します。その結果、分光放射計は、同じ色に見える光のスペクトルを区別することができ、例えば、白色光の種類を区別することができます。(図3参照)11-13

White Light Spectra

図3:分光放射計で測定した複数の「白色」光源のスペクトル。画像出典:Admesy.13


どちらの光分析装置にも利点と欠点があります。分光放射計は光源のより詳細な測定ができる反面、比較的高価で測定に時間がかかることが多いです。

また、AdmesyのPrometheus (プロメテウス) シリーズなどのハイエンドな比色計は、色測定や機械的に繰り返されるような測定比較において高い正確性を持っています。その大きな利点は、測定速度が非常に速いことです。そのため、品質管理には不可欠であり、製造の生産・検査段階で使用されることが多いです。一方、分光放射計は、高度な特異性、柔軟性、多用途性をもたらしてくれます。しかし、ニーズによっては、生産用途にも適合します。

一般的に、分光放射計は、色の形成や照明システムの開発など、自動車向けの研究開発プロセスにとって理想的で汎用性の高いソリューションと言えます。12-15

最後に、重要な3つ目の測定機カテゴリーとして、2次元イメージング比色計があります。これらの比色測定機器は、比色計の測定速度と、単一のスポットだけでなく各ピクセルが色度値に変換された"測定画像"をキャプチャする能力を兼ね備えています。


Admesy社の色測定ソリューション

Admesyは、分光放射輝度計、比色計2次元イメージングソリューションなど、色と光の測定に特化した幅広い機器を提供しており、自動車向けの開発・製造の様々な用途に理想的です。

Prometheus (プロメテウス) 比色計は、ほぼ完璧なCIE1931フィルタ特性と高感度・低ノイズ回路を組み合わせた、高耐久で使いやすいシステムの高性能比色計を実現しています。

分光放射計を必要とするアプリケーションのために、AdmesyはNeo (ネオ) シリーズとPrometheus (プロメテウス) シリーズという2つの分光測定におけるハイエンドの測定オプションを提供しています。Neo (ネオ) シリーズは様々な付属品との構成で分光測定ソリューションを提供します。また、Prometheus (プロメテウス) シリーズは電子ビューファインダー機能を備えた放射輝度・輝度の測定を提供します。15-16

Admesyはイメージング比色計として、Helios (ヘリオス) シリーズとTitan (タイタン)シリーズを展開しています。

具体的な測定ニーズについてのご相談や最適な測定機器をお探しでしたら、弊社までお問い合わせください。

参考文献、参考書籍

  1. ‘Fundamentals of Automotive and Engine Technology’ — Reif K, Springer, 2014.
  2. ‘A review on light-emitting diode based automotive headlamps’ — Long X, He J, Zhou J, Fang L, Zhou X, Ren F, Xu T, Renewable and Sustainable Energy Reviews, 2015.
  3. ‘Solid-State Automotive Lighting: Implications for Sustainability and Safety’ — Bullough JD, Sustainable Automotive Technologies, 2012.
  4. ‘The Next Step — Pure Laser High-Beam for Front Lighting’ — Fiederling R, Trommer J, Feil T, Hager J, Auto Tech Review, 2016.
  5. ‘Reality Check: Laser High Beam Performance in Real Driving Tests’ — Albrecht KF, Austerschulter A, Rosehahn EO, 11th International Symposium on Automotive Lighting, 2015.
  6. ‘Influence of ambient lighting in a vehicle interior on the driver’s perceptions’ — Caberletti L, Elfmann K, Kummel M, Schierz C, Lighting Research and Technology, 2010.
  7. ‘Effects of Automotive Interior Lighting on Driver Vision’ — Flannagan MJ, Devonshire JM, The Journal of the Illuminating Engineering Society , 2012.
  8. ‘Colorimetry Applications In The Automotive Industry’ — Chao MK, Hake BP, Electro-Optical Instrumentation for Industrial Applications, 1983.
  9. ‘ Advanced Imaging Colorimetry’ — Konjhodžić Đ, Khrustalev P, Young R, Information Displays, 2015.
  10. ‘11th International Symposium on Automotive Lighting’ — Khanh TQ, Herbert Utz Verlag, 2015.
  11. ‘Colorimetry: Fundamentals and Applications’ — Ohta N, Robertson A, John Wiley & Sons, 2006.
  12. Measuring color in a world of light
  13. Spectrometry: General Spectrometry
  14. ‘Visual and Instrumental Assessments of Color Differences in Automotive Coatings’ — Gómez O, Perales E, Chorro E, Burgos FJ, Viqueira V, Vilaseca M, Martínez-Verdú FM, Pujol J, Color Application and Research, 2016.
  15. Prometheus Series Colorimeter
  16. Neo Series Spectroradiometer