課題：HDRの複雑さを克服すること

ICDMのHDR小委員会の委員長であり、FF Pictures GmbHのCEOでもあるFlorian Friedrich氏は、HDR技術の第一線で活躍している人物です。先進的なHDR計測に関する彼の受賞論文は、HDRディスプレイ計測における複雑な相互依存関係という課題を浮き彫りにしています。

最新のHDR型の一般向けディスプレイは、ディスプレイの性能と入力信号の違いによる見た目の色味を調整する複雑なルールセットを利用します。 静的および動的なHDRのメタデータは、既存のトーンマッピングまたはカラーマッピングに加えて、HDRディスプレイのトーンマッピングにも影響を与えています。この中には、1秒間に複数回の、あるいはソースのフレームレートに従ってフレーム精度で処理が行われるものもあれば、エネルギー消費と熱分布に関連する長期的な調整処理もあります。

最新のHDR技術の複雑さを確実に把握するためには、入力信号に対するディスプレイの応答を迅速かつ正確に測定することが絶対的に重要となります。これを実現するために、InnoPQ® HDR測定システムによって、都度変化するパッチ信号の値とパッチサイズをダイナミックな動画背景と組み合わせ、各測定のタイミングを見事に同期させながら、ほんの一瞬の時間的効果をも捉えます。

そのためのシステムとして、その厳しい要求に対応できる高速で正確な比色計が必要でした。Florian Friedrich氏は、「HDR信号再生の重要なパラメーターを個々のフレームまで正確なタイミングで測定ができて、0.1cd/m²以下の暗所部分でも正確に色の測定ができるソリューションを必要としていました。我々の要求を満たす市販の比色計というのは殆どありませんが、AdmesyのPrometheusを見て、我々の測定ユニットに実装してみたいと強く思うようになったんです。」と述べている。

解決策：AdmesyのPrometheus比色計-驚異の技術

スピードと正確さ： 調和のとれたブレンド

Prometheus比色計は、とりわけ0.0002 cd/m²までの超低輝度に対する高速測定が可能という驚異的な技術で、市場最速の比色計であることに疑いの余地はありません。InnoPQ®システムへの組み込みは、大きな変革をもたらしました。「Admesy Prometheusのスピードと精度の組み合わせは実に優れています。Admesy Prometheusは、我々の測定能力を大幅に向上させた最先端の比色計です。」と、Florian Friedrich氏は述べています。

汎用性： 比彩計のスイスアーミーナイフ

Prometheusはただ高速なだけでなく、驚くほどの汎用性を持ち合わせています。最大3,125サンプル/秒の測定が可能で、Visual StudioやLabview、Matlab、Pythonなど複数のソフトウェアプラットフォームにも対応しています。こうした適応性により、複雑な測定シーケンスを扱うために高度なカスタマイズを必要とするInnoPQ®システムに理想的に適合します。

スペクトル感度： 新たな標準の設定

Prometheusは、CIE 1931 2°標準観察者(Standard Observer)と厳密に整合するスペクトル感度で設計されており、広色域(WCG)ディスプレイを含む幅広いディスプレイの測定に最適です。この機能は、従来の蛍光体バックライト付きLCDや、LEDバックライト、量子ドットフィルター、OLED、QD-OLEDを備えた、より高度なLCD-ディスプレイなど、様々なタイプのディスプレイにおいて高い精度が要求されるInnoPQ®システムにとって、非常に貴重な比色計です。

結論：HDRディスプレイ測定の新たなパラダイム

AdmesyのPrometheus比色計とFF Pictures社のInnoPQ® HDR測定システムとのコラボレーションは、HDRディスプレイ計測の新しい基準を打ち立てます。HDRテレビやHDRポストプロダクション用ディスプレイまたはモニターの測定における課題を克服するために、FF Pictures社はInnoPQ® HDR測定システムを開発しました。

このシナリオでは、Prometheus比色計の比類のない測定スピード、測定精度、および汎用性は、多くの複雑な相互依存関係を包含する現代のHDR技術が呈する複雑な課題に対処する上で非常に貴重であることが証明されています。業界が進歩し続けるにつれ、Prometheusのような測定機器は、視覚体験が技術の進歩に遅れないようにするために重要な役割を果たすことになるでしょう。

Prometheus比色計：概要

ここでは、Prometheus比色計が何故HDRディスプレイの色測定において画期的な比色計なのかについて簡単にご説明します：

• 最速の測色スピード： 最速22ms
• 高いサンプリングレート： 最大3,125サンプル/秒
• 多彩なソフトウェアサポート： Visual Studio、Labview、Matlab、Python
• スペクトル感度：CIE 1932 2°標準観察者(Standard Observer)に適合
• 追加機能：改良型フィルター、フリッカー・波形測定、コリメート・集光レンズ、ファイバー接続機能、内蔵メカニカル・シャッター

References

"Utilizing advanced spatio-temporal backgrounds with dynamic test signals for high dynamic range display metrology" (「高ダイナミックレンジのディスプレイ計測における動的テスト信号による高度な時空間背景の活用」 ) Timo Kunkel、Florian Friedrich著